古本屋
小川 葉

古本屋に僕が売られていく
僕は父さんの続編だった
父さんは名作で
何度も増刷されたけれど
今では内容が古くなってしまった
何刷目かの父さんと同じ
古本屋の書棚に僕は収められる
初版の時より少しやさしかった頃だ
いろんな注釈が付けられて
読みやすかったけれど
本当はとても傷ついていた
向かいの書棚の
三分クッキングの本は母さんだ
愛情こめて、なんて
キャッチフレーズがあるけれど
三分で料理を作ることなんて
本当はしたくなかった


自由詩 古本屋 Copyright 小川 葉 2008-03-12 02:48:49
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