使えないきつね
木葉 揺

使いにくそうなきつねが
やいやい話しかけてくる
どうやら自分の使い勝手の良さを
アピールしてるようだ

あんまりうるさいので
試しに使おうとしたら
「使うな!」と怒り出した

仕方がないから手を引っ込めて
背中を向けたら
「無理なんだ・・・」
とつぶやく声がきこえた
振り向くときつねは石ころを蹴っていた

やっぱきつねは使えるのがいいよな
そう思って歩き始めたとき
一瞬、頭の中を石ころが横切った

ある夏の出来事だった




未詩・独白 使えないきつね Copyright 木葉 揺 2004-07-01 00:33:22
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