ガムは大地と踊る
木屋 亞万

ガムを噛むと
口が広くなる
舌に野原が広がり
歯がぶつかり合う森
呼吸が定期的に吹き荒び
茎は湿っている
血の気が引いたように
青く暗く奥へと続く
洞窟の入り口で
茎は湿っている
口笛が夜を呼び
埋められた白い石から
ギターが鳴る
ガムは口の中で踊る
しなやかに体を
姿かたちを変えていく
持ち前の色を失い
肌の弾力が衰えた時に
銀に光る安っぽい紙に
全身を包まれ消えてゆく
草原には静かな風
ほのかなミントと
骨を打つピアノの音色


自由詩 ガムは大地と踊る Copyright 木屋 亞万 2008-02-24 00:16:15
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