太陽の下で
佐々木妖精

白くまが
冬に飽きて夏を生きている
空へ掲げた太陽から
モーター音がする
眩しくてほんのり暖かい
故郷ではインテリアでしかない太陽だ

夏の代名詞は軋みながら首を振り
永久凍土に芽生えを呼ぶ
G8は強い懸念



毛皮があれば完璧なペットなのに
つぶやく飼い主は
家電にない場所を求め
着ぐるみを着せる

ファービーと猫のどちらをかうか迷った少女は
猫を飼って正解だったと微笑む
いずれは泣くと約束して?

金属でないものを求めているのに
金属的な高音にひかれるのだろう

高熱に見舞われた赤子は
なぜ母親の胸に手を伸ばすのだろう

石油ストーブの方が温かいというのに
太陽の方が熱いと知っている

そして
みなの太陽が地平線で沈むように
ハロゲンヒーターは折り返す

様々な何故に突き上げられ
前足で大きな黒点を創ろうと
待ち構えた毛皮は焼けただれ
格子を越えたイカロスが
ファスナーから落下する

水膨れの中で
溶けた翼が散っている


自由詩 太陽の下で Copyright 佐々木妖精 2008-02-14 10:13:55
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