初雪
エスカルラータ



2月の光が
視界を捕える

頬抜ける風の透明度は
日々が穏やかである事の
尊さを
教えてくれる


階下では
くつくつと
鍋で泳いでるビーフシチューに
ブーケガルニと赤ワインが
魔法をかけている様だ



散歩に出た

ざくざくと
だれかが踏み締めた雪道
アパートの影と
晒された白が
対角
三角形のコントラストを描き
眼でないところで視るレンズで
一枚、切り取り
手土産にする



ランドセルをしょった
黄色い帽子のおとこの子は
あかいほっぺで
走り回り
くたびれたコートの
うつむき歩くお父さんは
曇った眉根で
鼻を啜る




雪が来た

木々たちは人々の弱音に耳を貸さずに
しゃんと立ったまま
ただ
芽吹くのを待ち
見下ろしている






携帯写真+詩 初雪 Copyright エスカルラータ 2008-02-14 04:13:02
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