無題13
ねろ


黄緑色の 幻想達

食い尽くされた 穴だらけのキャベツ畑の辺で

取り残された 蛹 は唄う 昨日までに見た夢を

甘い花の蜜の匂いも 此処までは届く事は無く

青くて冷たい匂いのする 葉を齧る

空を自由に 飛び回る あの娘等の 

あのアゲハ蝶の様な 紺碧の空色した 大きくて美しい

素晴らしく美しい 羽根ですら 私は要らない

楽しげに揺れる うすい愛の色した 花々の

柔らかな甘い蜜に 身体を肥らせる事が とても怖い

煤けた 幼い身体は 今この一秒ですら 膨張し続けて 

きっと抱えきれなくなると 言うのに

願いは 叶わない

明日も見続けるだろう この夢の替わりに

一つだけよ 叶えて頂戴 私の願いは・・・・

ただ あの空に なりたい

確実に 変化するこの身体の 成長を止めて

夜に そっと抜け出したいの

あの空へと

穢れを知らず 何の色も無い表情をした 強くて巨きなものになって 

素直に泣いたり 笑ったり 怒ったりして 繰り返すだけ

あらゆる すべてのものを その腕に抱きしめて

ただ 素直に 泣いたり わらったりして 繰り返し 繰り返していたいのよ・・・
  
空は 声も無く嘲笑い 

小さな蛹は 震えて 涙 零す



自由詩 無題13 Copyright ねろ 2008-02-04 23:17:08
notebook Home 戻る  過去 未来