例えば、小学生みんな持ってるフエルトペンが怖かったりとか
青木龍一郎

小学3年生のころ
自転車に乗って2つ隣の県まで行ったとき
僕は たぶん 何かから逃げ出していたんだろうな

愉快犯 片山の奇声
3年2組の向坂先生と3年3組の岡島先生の校舎裏での接吻行為
校庭の隅で猫が腐乱しているが 僕しか気づいていないため いつまでも処理されないこと
校長が教室にやってきて 一緒に給食を食べ始める 嬉しくないプチイベント
分数


僕の心は きっと 焦っていたんだろうな
唯一 見えていた社会が 不条理すぎたんだろうな
怖かったんだろうな
小学校が 怖くて 怖くて 怖くて たまらなかったんだろうな

小学校と逆方向に直逃げしていた
それは県をも越えましたよ みなさん
よっぽど 怖かったんでしょうね

自転車で走った3日間 何度も うしろをふりむいた
学校が ザフォンザフォン 追いかけてくる気がしたから
知らない町を 僕は 泣きながらはしっていた



同じクラスに座敷童子みたいな奴がいたんだんだけど
ここの教室で 昔 死んだ子供の霊が現れているんだと ずっと思っていた
僕にしか見えてないと ね
ある日 思い切ってその霊を指差して 「成仏しやがれ!幽霊!」 と叫んだんだけど
そいつ 普通に出席番号22番の中村君だったんだよね
ずっと 幽霊なんだと思ってたから驚いたよ

次の日から 僕は激しいいじめに遭い始めた

でも 僕はそのいじめから逃げた わけではなかった
僕に「成仏しやがれ」 と言われたときの中村君の あのポカンとした顔
なぜか 僕は その表情に とてつもない恐怖を感じて 逃げた
いじめなんて全員ぶっ殺せば解決だ
じゃあ 中村君のあの顔はどうすりゃ解決するんだ

解決
できそうでできない
ひじ を あご に くっつける
そのくらいできそうでできない
中村君 本当ごめん といいたいのだけど
中村君自身に すっごいいじめられてるから 言いがてぇーよ!

僕は悩んだ
中村君への対応  中村君の恐怖 


そして逃げ出した


3日後、2つ隣の県で発見・保護されてから
帰ってくると クラスメートは 中村君含め 全員自殺していた
クラスメート31人共同の遺書みたいなものが 残されていて そこには
1人1回 31回

「お前は実際は1cmも逃げることができていない」

と 書かれていた


PS.
先日 向坂先生と岡島先生が子供と一緒にデパートにいた
おまえら はやっぱり愛し合っていたんだね
僕は今 文章を書いてるぞ おまえら


散文(批評随筆小説等) 例えば、小学生みんな持ってるフエルトペンが怖かったりとか Copyright 青木龍一郎 2008-02-01 22:17:23
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