鴉火
A道化



窓枠から遠く、鴉の発音から
鴉の翼が発生して
西の方角、地平線に降ってゆく
黒い花火があったとしたら
こんな風に
ゆっくり悲しいのだろう


この手の中の窓枠を忘れず
この手の外ばかり見ているの
窓枠の無い夕暮れの為に身を乗り出しても
この手の中の窓枠を忘れず
この手は飛ばず、この手は燃えず


窓枠から遠く、地平線の向こう側が燃え
地平線は黒く、黒く拡がり
音も立てず積もった夜には
鴉の面影が満ちすぎて、きっと一晩中
こんな風に
じっくり悲しいのだろう



2004.6.24.


自由詩 鴉火 Copyright A道化 2004-06-24 16:17:55
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