平熱
簑田伶子

体温の変化って
すごいね


+



うるんだ夕刻の
スプリンクラーからは


しずまないでいる陽が
不遜で
わたしたちは
落日みたいなことばで喋る



+



無果汁が降る
ビルの
頂上と

こどものころの話をして
ずるくなりたい
バスルームの



休日なので
正午のサイレンは
なしです


+



なぜか
桃の産毛のことを
考えたりして


帰るところには
庭があればいいね

36.4℃、平熱
よく知らないひとが
詩人でうれしい






自由詩 平熱 Copyright 簑田伶子 2008-01-26 22:36:38
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