虹村 凌

電球の切れた部屋は薄暗く
机の上のランプだけが部屋の隅を照らす
ゆれる煙草の煙
歪む視界の隅
眠気を切り裂く犬の遠吠えとクラクション
思い出すように右手で銃の形を作る

エアギターエア合コンエア拳銃自殺
乾いた空気の中にしみ込む革靴の音
判で押されたように規則正しく近づいて遠ざかる
その規則正しさは再び眠気を誘い
船を漕いで行く
霧の海の中を

そうだ
キスをしよう
魚的な意味で
そうすればいいんだきっと
全て上手く行くに違いない

舵を取られて何度も目を覚ます
相変わらずこの部屋は暗い
煙草は全て灰になっている
押入れの向こうで笑う奴がいる
右手の指の形は銃のまま

エアギターエア合コンエア拳銃自殺
引き金を引きまくる
何もでない
引き金を引きまくる
何もでない
引き金を引きまくる

舵が折れて目を覚ます
左手の煙草は半分が灰
右手は銃
引き金を引きまくる
窓の向こうの乾いた革靴の足音が止まる


自由詩Copyright 虹村 凌 2008-01-23 07:58:15
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