透明通信
石川和広

びる
びる
びる

雨粒のの当たるびる
風のぶつかるびる

まどに空うつる
中でうごめく人影をとおくわたしの
目におくる

霧粒子
壁やねこやテーブルのばなな貫いて

あれは、Kだそんなことありえないこのちかくにはいない
やばいヤツだ
なんでここまでくるんだ3?はある
まっすぐには来れないはずだ

俺がよんだのか
ここまで及んでくるのは
ヤツと俺両方狂ってるからだ
見えるものを見てしまったからだ
ひとみが、もう機能しないまま
一点凝視なんだ

氷みたいなんだ
あいつの影に触るとき

あの時遠くの席にいた
ケイタイなんているか
とKはいった
そして八犬伝のビール瓶
を二十三本砕き

会話なんてゴミくずだと
店員を
なぐり
なぐり
なぐり

三つくらいの星の言葉をカクテルしながら
わめきちらし
椅子五つを天井に投げ
照明が三つ割れて暗くなり

逃げ惑い悪態をつく揃いのマークのポロシャツのおじさん
三人をぼこぼこに
する前に店員は110番通報して震えたが

なぜかKは陽気に笑いながら三人の胸ハラ尻
をどんどん踏みつけて

警察と救急がくるまでに二人はぴくりともせず

器物損壊、暴行致死傷の罪で手錠をかけられながら

明るく「再見!」というので
こわいというより
俺も思わず笑ってしまい
理由はわからないながらも警官に怒られた


わからない
わからない
あいつは連行されるとき
青く透き通っていったはずだ


嵐の中の南風

変な夕暮れ

びる
びる
びる

匂いの違う世界
凶暴なものは、純粋だ

ただ、この湯飲みよりつまらない

色気も無い透明通信
あいつの残像

いちおう二十歳過ぎだったし
無期をくらったらしい

過ぎたことだとは、傍観者の物言いか

で、
あいつの訪問は、挨拶もなしに済んだ
ある意味口下手なあいつらしい
お茶を飲み干すと、空がくらくなっていく

夜だ
あたたかい
もう
今は


自由詩 透明通信 Copyright 石川和広 2004-06-21 19:06:39
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