不真面目な果実
虹村 凌

僕の中の男は、二度目の眠りについたまま、まだ微睡んでいる

鈍い渦が沈殿していく

カーテンの隙間から差し込む光が
僕の足をゆっくりと
犯す
寝返った筋肉が軋んで
いつか誰かとの曖昧なまぐわいを思い出す

絶望の片鱗は確かな角度で貫通して
僕は起き上がれないまま
咽ぶ
記憶の中の太陽は見事なまでに砕け散って
赤いジーンズの女、もう改札口にはたっていない

明け方の邪魔するよ、眠り姫

数々の雑多な現実を忘れたいから
この部屋からそいつらを追い出す不真面目を
独り思い出す
独り、思い出している


自由詩 不真面目な果実 Copyright 虹村 凌 2008-01-06 23:46:26縦
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