鼓動
小原あき

鼓動を知っている
急激に階段を上がり
寝床に入ると
生きている苦しみと共に
息切れと共に
脳を覆う

熱を合わせると
寝床が海に変わり
大海原を旅する船になる




鼓動を、知っている
首筋に絡み付く
鼓動を、知って、いる
胸を震わせる




幼い頃から
当たり前にして
奇跡の子守唄を

大海原を旅する船に乗って




何故、を叫んで
何処、を剥ぎ取って
何時、を握り潰して



鼓動を、知っている
確実に増えて
鼓動を、知って、いる
確実に擦り減る




大海原に漂う
風が吹き抜ける波に
時に優しく
時に激しく
時に意地悪に
奏でる美しい音色




鼓動を、知っている
打ち寄せて
鼓動を、知って、いる
返す




いつか還るべき
浜辺へ





自由詩 鼓動 Copyright 小原あき 2008-01-05 12:34:03
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