白い大人
石田 圭太

美しくなった、本当に
美しくなった
成人を迎えるからだの中から
魂の
幼い部分だけ
すくい集めて
投げる

そこに生まれた空間が
やさしく
かたまったら
ほし
と名づけて
揺らぎながら包んでいく
いつまでも懐かしい
そんな水なら
いい


幾分か大人びてみえる
なにも知らない
大人たる大人となっても
いまだ知らない
白い大人となっても
地球を闊歩して
きづくといい

幾つかの誕生を喪って
ほんとうの
死がおとずれる
幾つかの
つかの間のようなうその中で
うねりながら生きて
恐ろしい言葉を知って

朝に生きて
夜に生きて
黒く
蝕まれ
汚れたという
美しい誤解をするといい
輪にはいる顔はさみしく
胸に残る痛さがひかり
とても人間にみえる



自由詩 白い大人 Copyright 石田 圭太 2007-12-30 17:01:58
notebook Home 戻る  過去 未来