啼くことの霞み
鴫澤初音

  リキュールゼリーを食べて 酔ってしまった夜
  蛍光灯の下で 瞬いていたのは自分の目蓋だった

  ローソクを一本 皿の上に置いてみる
  横にあるフォークとナイフ 銀食器の光り

  手にとると冷たく 銀に指からの熱が伝わって
  曇っていく

  僕らは、


   








 

   呼吸するのを止めたかったんだ
   蛍光灯の下で 曇っていくフォークとナイフを

   散ばったテーブルの向うに投げつける
   白い紙が舞い上がって 落ちる

   黒い眼の下で 僕らは見つめあっては
   開いた眼をゆっくりと 閉じて

   霞んでいく僕らを 慰めては
   微笑みあったんだ 


未詩・独白 啼くことの霞み Copyright 鴫澤初音 2007-12-28 09:35:38
notebook Home 戻る  過去 未来