軒並みぶっ倒れていたさ
鴫澤初音


   君への電話

   開いた君の声が笑顔だった 過ぎ行く眼の前の車の音が
   
   急に聞えなくなるような 気がした


   時折考える 私を思いとどまらせるもの って何だろう

   一年前 それはただ恐怖だった 今は見つけた死に方を

   手の中で玩ぶ日々 きっと冷静にいけると思うんだ

   

   スカートが翻る 亡くなった人が囁いた言葉

   思い出しても心に 突き刺さらなかった

   今

   私は誰にも愛されずにいて

   誰かを愛してもいなくて

   それを泣く理由にしたとしても

   濡れたものはすぐ乾くことも知っていた


    
   美しかったもの 全て

   私の中に沈んでいく けれど見つけたものは

   私を愛さなかった ただ

   それだけ


   
   生きていくことがそれほど

   楽しいと思えなくなったのは きっと

   幼かったころ遊んだことをもう 面白いと思えなくなったことと

   同じなのかなぁ


未詩・独白 軒並みぶっ倒れていたさ Copyright 鴫澤初音 2007-12-28 09:33:58
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