剥れかけワッペンが鬱陶しい
鎖骨







かえりたいときに限って
そこは閉ざされている
僕だけに見せてくれているよね
それならいいんだ
それならほんとうにいいんだよ
顔色は悪くないみたいだし
元気そうで何よりだ
外は蛍光灯も飲まれるくらい暗いし
今日はさよならを言う
だけにしておくね
そうして明日におはようを言うために
誰よりも先に起きられるように
今日はもう寝るよ
さよなら
さようなら
さようならだ







(冬の隙間風を
 甘く見ちゃいけない
 鍵はきっちり閉めておくべきだよ
 なんだったら粘着テープで戸という戸を
 窓という窓を
 目張りしたっていいくらいだ)









さよなら
さようなら
さようならだ
さようならだね
さようならだって
さようならされたら
さようならしかえして
さようならのやりなおし
さようならしてしまったら
さようならでしかおわれない
さようならはやけにおもくって
すぎたあとにはなにものこらない
さようならのはらんだむじょう
さようならのものものしさは
さようならしたひとだけに
さようならのあとのこす
さようならをかざるな
さようならはただの
さようならであり
さようならする
さようならだ
さようなら
さよなら










おとがする
はりつめていてかたい
それでいてほそいE弦の
おとがするよるだ
たかくてとおい
ふゆの
そら

風がふくから
とれちまいそうだ

ああ





あしたもあったかい白米を食いたい


自由詩 剥れかけワッペンが鬱陶しい Copyright 鎖骨 2007-12-21 00:58:53縦
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