雪むし
恋月 ぴの

最初は綿ぼこりかと思った
小さな白い塊が
ふわふわと目の前に浮かんでいた

疲れた目の錯覚と決めつけてはみたが
白い塊はその数を増し
やがて
小雪でも降り始めたかのように
凍えた集会室の静寂をふわふわと漂う

言霊と言うものがあるとするならば
言おうとしても言えなかった
伝えようとして伝えることの叶わなかった
言葉のひとつひとつが
このような白い塊と化して闇に舞うのか

古い暖房機は会議の声を掻き消そうと
相変わらず駄々をこねている
それでも次第々に
かび臭い集会室の空気を暖めだすと

ふわふわと浮んでいた
白い塊はその姿を何処かに隠し

傾いだ長机から言葉尻を捉えようとする
ボールペンの小刻みな音が忙しく時を追い立てた



自由詩 雪むし Copyright 恋月 ぴの 2007-12-20 22:51:46
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