クッキーを作ってた水曜　夜
テレビが家にないので　見るときは多分
友人の家かどこか



　「一緒に寝ないんですか」

そう、並河さんに訊いたのは　今まで泊まってきた人たちが
いつでも自分の寝床に私を招いてくれていたから
ただ隣り合わせで眠っているだけだけど　横に体温があるのは
安心できた　別に　恋人じゃなくても　それは

　「うん　寝ないよ」

並河さんはそう言って　居間のコタツの前に私を残して
とっとと隣りの布団で横になった
私は　なんだか可笑しくて　くすりと笑ってしまった
くすくす　ふふふ　ひひ　けへへ　ぶほ
私は並河さんが好きだ　どんなふうに好きなのか
到底説明なんて　できないけど　ずっと傍で肩をつけて
いたい　恋愛じゃないし　友情でもない気がする
ただ何だか　好きなんだけど　未だに並河さんを
全然わからない　で　いる

　「うん　寝ないよ」

いつか隣りで眠りたいんだけど
まだ　今はそのときじゃない
みたい　ね