好きに名づけてくれ
鎖骨








風に問う前に
石について知れ
幼きうちによく走れ
裸足の土踏まずで草に口づけて
幼きうちに思うまま遊べ
そのときにしか出来ぬことが知れるのは直ぐだから



みだらに歌うことなかれ
たとえそのみこころ寂しくとも
牧歌は牧童のためのもの
聖歌は教徒のためのみにあり
情歌は溺れたがりを招く底なし沼
賛歌は触れられすぎて手垢に塗れる
みだらに歌うことなかれ
















唯流れていたはずだ


         音楽と呼ばれるものは


 閉じ込めたくない


         名前をつけたり、繰り返したり


                       したくない


                     のに



            だけど音は選ばれる


     選ばれてしまう


            絵も建築も


                 何もかも


        それから称えられる


             銘


              をうたれてあちこちで


                        その名前が語られるようになる


            宿された魂が消沈していく


それらを見るものの見えないところで


     金が積もる


         人が澱む


            人で澱む


               エゴ自己愛がこすりつけられて


                            一方的に迫られる


     象徴化され


         神格化されたりする


















暗くなっても私は仕事をしている
それを客観的に見てみたい 想像するのではなく




明るくなっても私は書いている
つなげたり離したり削ったり伸ばしたりして

















動力が失われて続けられなくなるまでそうしていられたら
自動式タイプライターよろしく綴りつづけるそれの
吐き出し続ける詩篇で六畳間はいっぱいになって
いずれ窓から玄関から排水溝からあふれて外に私を伝えるだろう
風化する前に残骸は物好きな資産家に嗅ぎつけられ
石膏を飲み過ぎた女、あるいは男として
防腐処理されてから
美術館に展示される








自由詩 好きに名づけてくれ Copyright 鎖骨 2007-12-17 19:30:04
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