秘匿された
鎖骨



なにも言いたくないって
そういうときがお前にはないのか
あさがおの蔦がまた伸びてる
おかしいな、こんなに寒くて狭い夜なのに
誰かの言葉を、まるでわかったつもりになって
自分の内奥の叫びなんて科白を吐いてやしないかい
あーってして
口の中を見せてよ
噛み砕かれもしないままに沈んでいった人たちの名句辛苦美辞麗句が
奥歯の間にはさまっているんだろう
きたない、きたない口の中
その匂いごと愛してやるから
開けろよ、早くその小奇麗な薄い唇
できなきゃおまえは明けていく空に
祈ることなんて許されやしない




ならないよその耳には
届かないよお前の蝸牛には
だってお前は知らないんだから
滾る浪のおと騒ぐ砂の、細い細い細い嗚咽
とけないよその理想
いけないよあそこへは
きれいでありたがるお前の足では絶対に
見つけられない




黙れ、黙ってよ
そこここに満ちた靄が濃くなる
ほどけて抜け出したんだ、殻がなくなったから
開放された海馬体がつくる大気
いずれそうなることを知って、見て確かめたそれからは
どう思えばいいのかな
ずっと考えているんだ
いや、考えてはいないけど
とにかく煩いんだ
黙れ、黙ってくれ
何も教えようとしないで
自分の口が塞げないなら
わたしの口を





自由詩 秘匿された Copyright 鎖骨 2007-12-16 02:10:40縦
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