五線譜
服部聖一

しわしわの祖母の指を見る
指のシワはそのまま五線譜のようにのび
窓を抜け
空の彼方まで飛んでいった

飛びつづけた時間の
縫いとられた時間の
針と糸の通った縫い合わされたところ
日々の音のこぼれ落ちる小さな穴がつづいている

衣擦れのちいさな音
日常のちいさな音
五線譜に置かれた音たちが
ちいさく手のシワが
深まっていく


自由詩 五線譜 Copyright 服部聖一 2007-12-14 02:02:00
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