印象の『恋空』
がらんどう


『恋空』とは多分こんな話なのだと思う。

おそらく、時は西暦20XX年、世界は核の炎に包まれたのだと思う。文明は崩壊し、モヒカン刈りの悪漢達が暴虐の限りを尽く無法の世界となっているのだと思う。だが、こんな時代にこんな愛が、この物語はそういう物語なのだと思う。女の名前はミカ、男の名前はヒロ、文明が存在していた時代であれば高校生くらいの年代であるのであろうが、彼らはおそらく核戦争で減少した人口を回復するという崇高な使命を背負って日夜生殖に励んでいるのだと思う。文明は崩壊しているのであるから、彼らの言語がひどく貧しいものになっていたとしても驚くには当たらないのだと思う。

おそらく、モヒカンの悪漢たちによってミカは拉致されて輪姦されるのであるが、そこに現れたヒロの怒りの鉄拳が炸裂し悪漢たちは臓物をぶちまけながらその人生を終わらせることになるのだと思う。しかし、ヒロはミカを救うために死の灰を浴びており、すでに不治の病に冒されていたのだと思う。

いったん二人は別離することになるのであるが、再びミカが悪漢の手に落ちたことを知ったヒロは病をおして戦いに赴くのだと思う。そして「病さえ無ければ」とかなんとか言われて苦戦しつつも、なんだか恋の力かなんかで逆転勝利するのだと思う。そして「我が生涯に一片の悔い無し」と空に向かって拳を突き上げて死ぬのだと思う。そして、その空には北斗七星とそれに寄り添うような小さな星が輝いているのだと思う。ミカはその空を見上げて涙を流しながら呟くのだと思う、「あれが私たちの恋空・・・」。

その場面をバックにして主題歌が流れるのだと思う。
─ YOU は SHOCK 恋で空が 落ちてくる・・・ ─

読んではいないのであるが、『恋空』とは多分こんな話なのだと思う。



散文(批評随筆小説等) 印象の『恋空』 Copyright がらんどう 2007-11-26 17:01:33
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