夜のさかな
銀猫

わたしは夜を求める
濃紺の空と赤い星を求める

きみは夜を求める
藍の雲としろい月色を求める

ふたりが求めた夜の中で
風見鶏は廻ってゆく
流れ着く先を知らず
また
愛情、の何かも知らず
緩やかな褥を求める


わたしたちは
過去にさかなであったかも知れない
少し濁った水に分け入り
そこに茂る苔をついばむ、
ちいさなさかな

透明な水は
少しばかり痛い
夜の灯りが矢のように刺さってしまうから

(ああ)

なのにわたしたちは夜を求める
月明かりに照らされる、
銀の鱗を誇るように
背びれをくねらせ
遠い朝に怯えながら
星を追う








自由詩 夜のさかな Copyright 銀猫 2007-11-25 21:50:37
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