手の鳴る方へ
恋月 ぴの

わたしって
よく道をたずねられる
どこかやさしげにみえるのかな
近藤さんの朗読した「夕焼け」って作品大好きで
繰り返し読んだりしたけど
登場する娘さんのように
「やさしい心の持ち主」なんかぢゃないから
たとえ電車のなかで寝た振りしても
下唇を噛んだりはしない

わたしって
よく道をたずねられる
訳知り顔のジモティにでもみえるのかな
今日だって
友だちを待っていると
おばさんに道たずねられた

何れの道を歩むのが正しい人生の在り方
そんなん
わたしだって知りたいよ
Show me the way
だなんて、胸の前で手を組んでみても
普段の行い悪すぎるし
誰も指示してはくれない

目標があってこそ
そこへ至る道があるのなら
目標の定まらない人生に道なんてないのかな

それでも人生立ち止まれるわけじゃなくて
なんど道を教えても判ってくれない
母親似のおばさんの手を握り
こんなにもあったかだったんだと

いつもとは違う夕焼けをみた気がする



自由詩 手の鳴る方へ Copyright 恋月 ぴの 2007-11-24 21:53:36
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