私、散る
はらだまさる


私は眼鏡をかけてよく負ける、無重力を味わうかのように。
鳩尾に鈍痛が走るように、断腸のように、そのように。私の泣かない場所が、
糸巻貝のなかで爪を噛んで噛んでいる。私という肉はすぐに罅割れ、れる、
ゴムホースの、のように薔薇色の唇から肛門まで。空洞。
私の知らない名前が、蔦に絡まって「M」の文字を数えてみるが
自虐的で俯瞰に酔う。酔って私はすぐに忘れ沈黙する、
八百万に追われ両目閉じ、橋を渡って農へ逃走する。
私は私の私をマントラのように繰り返し
りん、りんと鈴を鳴らし押し寄せる徒然に落とし込む。
悪霊退散、悪霊退散、

自転車で、秋空に
散る。




自由詩 私、散る Copyright はらだまさる 2007-10-27 12:35:13
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