猫の脱却 そのことどもに
mizu K



かなしみに拘泥されない不確かな日常の
脱却ひとつ、その方法の すがた
今日をかなしまないためのほがらかな
ひとつの、方法 そのすがた
脱却するそのすがた は
鳩の豆鉄砲くらった猫のように
ひとつの、脱却、方法論 そのすがた

日常のほがらかな瞬間に舞い降りる
ふとした瞬間かなしみの時間
、胸、が、つぶれ そう
ねえねえ あたし たのしいんだよ
緑、みどり、みどりのまま枯葉
落ちる木々の枝 からから ほがらかに
鳴いている猫の静寂

豆電球のぽつんとうかぶ部屋の
、かなしみ、拘泥されない、
不確かな日常の不確定要素
一連の出来事にとまどいまどい
ひとつの、方法、そのすがた
まるで猫が逆立ちしたように
この世に生まれる子どもたち

いくら
かなしんだって
せかいは
なにもかわらない
ねこが
ぞうが
ひとが
しまうまが
しんでいく

ねえねえ あたし たのしいんだよ
すっごくたのしいんだ
だってせかいはゆうえんちなんだよ
どこまでいってもあそべるんだ
おっきいおっきいゆうえんちなんだよ
すごいねえすごいねえ

どこまでもつづく地平線がゆらゆら揺れて
存在の証明に困ってカモシカが走っている
ひとあしひとあし、あしあとひとつ、そのすがた
そのうしろすがた、
影がずっとずっとのびている地平線
もとめた、日常のかなしみの根もと
飽くなきおそれ、また、ひとつ、ふたつ

みっつ、よっつ、いま、いつつめの日常
不確かな猫の脱却 そのことどもに
子どもが泣いて生まれる
かなしいのだと
いちどきに、ほがらかな日を浴びて
からからと風車がまわる
まわるまわるめぐるめぐる日常の
不確かさを再認識せよと、来る





自由詩 猫の脱却 そのことどもに Copyright mizu K 2007-10-22 04:00:53
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