どんぐり
yo-yo

ひとつふたつと
どんぐりの実を数えながら
息子は
年の数をおぼえた

ぼく みっつ

小さな指で
小さな生き物のような木の実をつまんで
みっつの命をならべていたが

あっというまに
ひとの年は二十をこえ
三十もとびこえてしまう

やっと自慢できることは
自分の包丁を持っていることだと言う
深夜にしずかに砥石に向かう
たぶん手は傷だらけ

ひとさし指と親指で
どんぐりによく似た果実をつまんでは
そっと包丁を当てる
息子だけの
そんな国がどこかにあるらしい

ときには
ひとつふたつ
みっつ

ポケットいっぱいの秋を
数えきれない





自由詩 どんぐり Copyright yo-yo 2007-10-19 12:52:09
notebook Home 戻る