あるお腹が空いた日
小原あき

あるお腹が空いた日
しょうがなく戸棚を開けた
何もなかった
幸せすら
見当たらなかった


あるお腹が空いた日
雨粒を一掴み口に入れた
なんの感情もなかった
ただ
冷たくなった雨粒たちが
わたしの明日になることは確かだった


あるお腹が空いた日
森に出かけた
木の実をひとつ
拾い上げたら
名前が書いてあった

わたしの名前を探したが
どの木の実にも
書かれてなかった


あるお腹が空いた日
辛抱堪らなかったので
ひたすら動かないでいた
しかし、足が痺れて
床に転がった


そこからの記憶はあまりない
ただ、
窓から見えた空に乗っていた
あの雲さえ食べられたら、と
嘆いたような



お腹が空いた今日は
何故だか温かいスープがある

きっと
誰かが溢した
優しさの雨だ









自由詩 あるお腹が空いた日 Copyright 小原あき 2007-10-15 18:59:56縦
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