たとえば僕が死んだら
しろう



たとえば僕が死んだら
「これで世界はほんの少しだけ平和になった」
とつぶやいて
盛大ではないけどささやかでもないパーティを
みんなで祝ってくれないか

たとえば僕が死んだら
「これで人類はほんの少しだけ利口になった」
とささやいて
はじけすぎないけどつまらなくもない宴会を
みんなで騒いでくれないか

たとえば僕が死んだら
君は僕の記憶の中にある
一番きれいな笑顔で笑って
君は君の記憶の中にある
僕の一番の笑顔だけを思い出して
思い出は思い出さないで
僕の名前も思い出さないで
誰のためのお祝いなのかも気付かぬまま
パーティと宴会を金土の二晩続けて開いて

  ああ
  そうすると僕が死ぬのは木曜じゃなきゃいけないな

パーティと宴会が終わって
家に帰ってひとりになったら
やかんでお湯を沸かして
カップラーメンにお湯を注いで
ふと
わけもなく
3分間だけ泣いてくれないか

もし嫌いじゃなかったら
カップうどんにして
ふと
わけもなく
5分間だけ泣いてくれないか

そしたらふたを開けて
涙と一緒にめんをすすって
食べ終わったら
あとはお風呂に入って
入念に身体を洗って
耳のうしろもちゃんと洗って
髪にはトリートメントもかかさずにして
風呂から上がって
ドライヤーで髪をしっかり乾かして
歯を磨いて
ちゃんと5分以上磨いて
あったかい布団で
きっと素敵な夢を見ながら
すっと眠ってくれないか

たとえば僕が死んだら
きっとそうしてくれないか






自由詩 たとえば僕が死んだら Copyright しろう 2007-10-12 20:33:12
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