凸凹(ひとつ)
LEO

哀しみのあなたの窓辺に秋桜いちりん


――凹
灰色に覆われた低い空に
押しつぶされて
想いと呼ぶには小さな
いくつもの欠片が
重たくなって
沈んでゆくだけ
雨ならなお一層

すこしの慰めに、と
硝子窓の
滴模様に指をあて
見えないあしたを描いた
窓の外には
雨にぬれた秋桜いちりん
花びらは
淡いさくら色をして


――凸
道すがら
秋桜を一本手折りました
花びらが
くるくる風にまわって
笑っているよう
それは
微笑んだときの
あなたみたいに
やわらかでした

哀しみの
あなたの窓辺には
いまはただそっと
見つけたら
やわらかさだけが
届けばいいと
ことばの代わり
置いて行きます


――凸凹
晴れたら
秋桜を見に出かけよう
丘のむこう
風の遊ぶ場所
くるくる、くるくる
秋の陽に包まれて
哀しみさえもとけるから
淡くとけてゆくから

微笑み交わして
触れたらきっとやわらかい


自由詩 凸凹(ひとつ) Copyright LEO 2007-10-02 20:43:22
notebook Home 戻る  過去 未来