親戚の欠片
たもつ


晴れた日の
親戚のように
父と二人並んで
日あたりの良い窓際
懐かしいことや
懐かしくないことを
とりとめもなく話し
毎日小さく丸くなる父は
明日はもっと
そうなんだろう
窓の外には
狭い菜の花畑があって
昨日なら手押し車で
荷物を運ぶ人も見えた
命の欠片のような脚を
ゆっくりとさすっていく
親戚にしか
できないこともあるのだ
ゆうべ妊娠する夢を見た
そう告げると
父は何か
聞き間違えをしたのかもしれない
ありがとう
とだけ言った


自由詩 親戚の欠片 Copyright たもつ 2007-09-30 18:01:21
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