怪談俳句
渦巻二三五

炎昼を赤子の声で鳴く蝉や

誘蛾灯十枚の爪かかりけり

泳ぎきし手足を埋めて砂の城

真夜中の汗つま先へ到達す

扇風機ふいに大きく頷けり

蟹踏みし踵より蟹生まれ

黄金虫こがねむし額に割れてしまひけり

蟻の道一直線に臍の穴

地下道の死体ちひさき虹刺さる

木下闇百年前から婆が居る





          
初出:一九九八年七月六日 @nifty 現代詩フォーラム



俳句 怪談俳句 Copyright 渦巻二三五 2007-09-10 13:46:34
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