「フロンティア・ブルー」
Rin K


月の瞳に
海が映るのか
海の鏡に
月が潤むのか

旅立ちはいつだって
こんな夜の、ブルー

マストを背にした
ひとつひとつの心に
青はなにを
語りかけるのだろう



「海賊賛歌 一番)」                     


海の宇宙じゃこの船も
群れを離れた星屑だ
風に任せて生かされる
僕らにカタチはあるものか
それでも僕らは海賊さ
この世にないものなんてない
あったとすればそれはまだ
見つけていない宝島

            〜エヴァー・ブルー〜


 
「冒険者の証言」


羅針盤など
とうの昔に行方不明だ
きっと金時計と間違えて
うさぎが不思議の国に持ち帰ったんだよ

   *

昨夜酔って甲板で寝ていた
なんとなく向かい合った明け方の空は
地図だった たしかに、地図だったんだ
ポケットを探ってペンを抜き取った、はずが
それは砂時計で
オレンジの、砂時計で

   *

桟橋にあいつを残して
船を出したのは、僕
でもそのときからすでに
この船には歌声しかありませんでした

   *

アルビレオだったか
アルタイルだったか
それともデネヴだったか
デジャヴだったか
たくさんありすぎて
この宝箱を見つけた島の名前は忘れた
けれど中身は忘れない、きっと
あれはメトロノーム

   *

地球がまるい
さあ、信じてはいないね
しかし海と空は繋がっていると
この耳で確かに聞いた
スカイオーシャン
だからここにいるんだ、僕ら



「航海日記」


手探りでコインを挟んでおいた日記帳のページが
ついに今日を示した

白紙の未来に何度も練習した
さよならの試し書きが
ひもとけて
溢れ出して
宇宙にもう一つ
海が増えた

やがてはヒトの身体に潜む海と
つながってゆくのだろう



  呼ばれているな
        青に―――







自由詩 「フロンティア・ブルー」 Copyright Rin K 2007-09-01 23:27:26縦
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