yuugi
はらだまさる




  事実、失われたものたちが/こどもみたいなことを
  眉間に集束して、にこやかに手を振っている/窓際に並べ合って、トランプしている
  夏の蜃気楼に酔った、寂しさの群れが/失ったままの、指先で
  おはよう。という断絶の/決して拡がらない距離で
  こんにちは。という振動の/感じられない皮膚で
  目にみえないくらいの、繊毛のような果敢なさで/祈ることも知らず、ただ怯えながら
  ち、という一文字にぶら下がっている/絶壁からのバンジー

  八月のカレンダーを、いち早く破り/真っ白なティッシュに吐き出した精子を捨て
  親指のうえでボールペンを回転させながら/ひかりの下で三面鏡を覗くと
  不遜な態度で、睨んでいる/いまどき、自由なんてダサいっていう顔で

  月は、いつも営業してるし/ぼくらは、やっぱり死んでいて
  君は、元気で/事実、失われたものたちが
  永遠に配られている









自由詩 yuugi Copyright はらだまさる 2007-08-30 17:15:46
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