一寸先は足
黒川排除 (oldsoup)

猿が落とした果実も猿もやわらかい

蔓草ピタリと止まり中二階のある家

連呼して草原の上を吹きわたる

老人生き存え殺風景をかくのみ

霞破る舌なめずりに継ぎ目なし

近眼に花火打ち上げられ水溶

ガムの話カスタネットを打ちつ聞く

蟻の行軍今静かに狂い出す庭師

わがゆめポリエチレンのフタをねじ込まれはないき

田より出でて途切れる道 底から火柱

風前に待ち伏せていたあしあと

何かが石と化し杖となりの滝へ倒れる

村全部とはぐれてうろたえるほど虫の音

矛先の少年は劇を待っている

体温で溶けない土を島と呼ぶ

老婆うなりあう街角は氷山の容器

夕暮れ過ぎて夜になる前の黒猫たち

紙なかなか重ならないかざみどりの雨

日射の浴槽に 湯気なく 外を出歩く湯気

賢者の血を照らす松明向こう岸まで


川柳 一寸先は足 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2007-08-19 13:38:56
notebook Home