削られた一部
チアーヌ

ふと
街で
耳にした音楽から
わたしの声がして
びっくりしてしまった
あの日あなたと過ごした半日で
わたしのどこかが変化したよ
あの日の前と後で
わたしはずいぶん違うみたい
西葛西のあなたの家の二階は
とても不思議な空間でした
屋根があったような気がしない
壁はあるのに
天井は抜けていて
はじめて
雑誌に名前が載っていたのを見たときには
びっくりしたけど
それからもう10年以上
経ったね
あなたは今どこにいるのかな
どんな風景を見ているのかな
あなたのサンプリングしたわたしの声は
楽器のひとつになったみたい
もし会っても話すことなんかないけど
なんだかわたしの一部を抜き取られたみたいで
いまだにちょっと
わたしは削れている



自由詩 削られた一部 Copyright チアーヌ 2007-08-07 00:51:27
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