切符
見崎 光
最終的に行き着く先は
やはり 過去なのか
途切れた雲に重ねるパズル
欠けたピースがいじらしいほどに
巡回を滞らせた
転んで泣いて
起き上がって笑って
当たり前に出来ていたことが
鈍さを増していく
錯覚に怯えだす五感は
肯定された運命を求めて止まない
差出人不明の封筒
紙切れ一枚
突風に瞼をかばい
違和感を捉えた
見覚えのある安楽
旅の招待状
この道の先を覗きたくても
怖さで踏み出せなかったこと
格好つけて先頭を歩いたり
取り残されて意地を張ったこと
辿り着けた時の誇らしさや
そこで見つけた夕焼けに散る
蜻蛉の瞬き
無くしたピースは過去への入り口
用意されたベンチはゆりかご
うたた寝の間に修復されていく
絶望に砕かれた部分
「ここでまいってたら女が廃る」
現実に戻された瞳に映る空は
やけに澄んで見えた
最終的に行き着く先は過去
留まるのではなく旅をする
差出人不明の封筒が届いたなら
再生の合図
誰もが “G線上のアリア”