まつり
小原あき

ガラス窓が
ごつん、と鳴った
振り向いたら
何かがぶつかって
怪訝そうな顔をした
ガラス窓がいた

蝉が死んだのだ
わたしはそっと拾い上げて
犬にやった



窓の外には
気温を上げるほど
お前の仲間が
鳴いている

(泣いてくれているのですね)

ああ、そうさ
お前の一生が
見事に終わった
歓喜の祭りだ



蝉の泣き声が
夏へのわだかまりを
消してくれているようだ

(ありがとう)

そう言ったのは
蝉だったのか
わたしだったのか

犬は怪訝な顔をして
空を見上げている







自由詩 まつり Copyright 小原あき 2007-07-27 19:04:54
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