40ページの手帳日記
Rin K




アイタイキモチを結句に
歌えるようになったとき
恋が始まるのだと誰が言ったのだろう
2002年5月8日


あなたは今、幸せですか
リフレインしてやまない君の問いかけに
若葉が答えた 青空
2002年5月17日


ヴィーナスブリッジで南京錠をかける行為と
抱きしめることは同じではない
カチッとなにかがかみ合う音だけが
唯一同じだと確かめて知る
2002年5月29日


メールアドレスに昨日の日付を入れる
変えるときは君を忘れるとき
別れを意識して付き合うのは
君で最後にする
2002年5月30日


展望台の望遠鏡から
アンタレスが見えたと君は言う
そんなばかなこと、だって
あるかもしれない
2002年7月21日


夏の切符は汗まみれで夢を見た
遅れた時計を砂中でなくした
君は、海にだけは笑って抱かれる
2002年8月4日


雨やみを待つ
心の形を伝えるすべなんてない
それでも守ることで伝わるのは、震え
2003年6月7日


静寂からもの憂き雨が貫けど
破れる夢もない熱帯夜
2003年8月1日


交わらない水平線の理由を考えてみた
大事な約束を忘れたことを謝っておきながら
君の嘘だけが許せない理由も
僕らが出会った理由も
2003年8月22日


大切なものに順位をつけるなら、すべてが
1 1 1
宝箱はオルゴール
調べは苺愛歌
ハッピーバースデイ
2003年11月1日


夜の飛行場で拾った翼を
閉じ込めたロッカーは8864
番号は思い出したのに
つけ忘れた日記の日付がでてこない
多分2004年2月4日


雪とバニラと僕らの四角関係
とりあえず、描いてみたら
まるかった
2004年2月7日


ささめゆきは切れたのに
電話は切れなかった
話せば話すほど遠ざかる夜もある
2004年3月5日


あれもイヤだしこれもしたくない
そんなことはたやすく言えるのに
じゃあ何がしたいのってきかれたら
答えられなかった
2004年3月8日


月が車窓に映って二枚にずれた
僕もいつか
影とずれてしまうのかもしれない
2004年4月1日


初めて目の前で君の
なみだのつぼみが咲いた
うれしいような
うれしくないような
2005年9月10日


今日はどこへ行こうかと
適当に切符を買ったら
やっぱり行き先は表示されていなかった
だからどこへでも行けたんだ
2005年9月19日


生まれ変わりとかは信じていない
でも生きなおすことはできるのかな
2005年10月23日


ぬくもりは白い
いつわりも白い
きっとこれがラスト・スノー
今日は朝に眠った
2006年2月26日


如月駅で君を見送った
通過する電車に隠れた姿を
ずっと探している





自由詩 40ページの手帳日記 Copyright Rin K 2007-07-22 18:36:12
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