即興詩会(飛びいれ!火にいる夏の虫、編)1
ワタナベ

ワタナベ [17:18:15]
「EVE」
ワタナベ [17:18:29]
制限時間10分 はじめ

ワタナベ [17:30:21]
はじめに言葉ありき
どこからか鼓膜を振るわせる声
きこえてくる
はじまりながらにおわりにむかう
EVE
最初で最後の

パソコンのモニターを眺めながら
一日を終える
あふれるほどの
ことば、詩、散文、ことば
そう ことば
が モニターからあふれてくる
少しずつ息が止まる
窒息して、遠のく意識のなかで
わたしはあなたを見た
このワイヤードの中に
EVE
はじまりながらに終わりにむかう
EVE
最初で最後の

アオゾラ誤爆 [17:31:23]
冬のうちに悴んだ指先も
いまとなれば幻のようでした
あなたの狭い部屋のすみっこで
ねころがって集めたたくさんの景色も
うそのようでした

こんどはわたしの小さなてのひらで
芽吹く声だけがせかいを生かしている
テレビのなかでうごめくひとかげが
いつもよりやさしいのも、気のせいかな

街が明るくなるのも時間のうちで
さよならをいえなかったのは僕らの傷で
何度か舐めあってもたぶん消えない

夕べの空に浮かんだ星に
あなたの大きな願い事をひっかけて
飛ばしたでしょう
きょうがなんのひか、わすれてしまったかな

くだらないイヴ
わたしだっていつのひか
なくしてしまうかもしれないもの
きみとみた沢山の今日が
昨日からじゃ期待できないことに さみしくなんて
ならないよ、きっと
なにもなにもない、そばにガラスの匂いだけ
抱きしめる

思い出を片っ端からくだいていったら
いつも同じ場所にたどりつくよ
きみがいなくてもそれは同じなんだ
痛みはもうどこにもないの ないよ
ないの

七月、群青色が落ちてきて
写真になるのはずっともう前のこと
だよ

氷水蒸流 [17:40:11]
まどろみながら待っている 
はじまりはいらない 
遠ざけて輝きを  
グラスの中で太陽を転がして 
マドラーは溶けて行く 

ワタナベ [17:42:10]
では寸評を
アオゾラさんのは冗長で散漫
氷水さんのは描きたいことはわかるけれども意味まで到達してないっていうかその後に出てくる言葉が詩だと思う ということでアオゾラさんの力技一本、アオゾラさんで。

アオゾラ誤爆 [17:44:53]
「サークル」
アオゾラ誤爆 [17:45:10]
制限時間10分です どぞ
ワタナベ [17:48:10]
A to Z = A
やわらかな曲線美
そう、この広大な
言葉すらも届かない




        宙

にある青い星
それは美しい 球

「人間が地球の描く球体を
科学的に再現しようとすると
あと数百年はかかるだろう」
そう 
天文学的





        数字
その奇跡のなかでうまれた
うまれた

氷水蒸流 [17:51:34]
うあー無理だ、リタイア。交代要員を

アオゾラ誤爆 [17:52:02]
転がりまわって着地点
朝はまだか
嘆きなげいて現時点
ハロー、ハロー 

きこえますか

無駄なコールに
三半規管が
悶えているよ
かき混ぜられて
泣いている

とけていくのは誰かなあ
だれだろう
誰かなあ

ワタナベ [17:53:15]
短い詩においてはリズムも重要視されると思う リズムがいい

ワタナベ [17:57:59]
「氷結」
ワタナベ [17:58:09]
制限時間10分 はじめ

氷水蒸流 [18:02:11]
凍り損ねた左手に
誰かが暖かいものをのせた
心は少しも動かず
新しい土が生まれた

アオゾラ誤爆 [18:04:03]
塩素の匂いがだめで
眩暈をひきおこす
つめたい
消毒液がまずい
保健室のベッドの
きれいな窓では
ぼくらが泳いでいた
夏が終われば
冬がくるから
こうしていれるのも今のうち

明日にはたぶん
ひえたベランダに
素足が
白い肌が

あいまいになる境界のそばで
しずかに凍てついた
そらのしたで黙り込む
ふたり
(ここは どこですか 亀裂が)
(入る)

楢山孝介 [18:05:58]
空気が凍っていて外に出られないと
そんな馬鹿な冗談につられて
玄関まで出てみると
凍った空気の中を
無理やり進もうとした君が
半身を空気に取り込まれ
青ざめた顔をこちらに向けていた
「出られないって自分で言ったのにね
 馬鹿だから、難しい漢字も読めないし
 空気が凍っててもさ、外出たい時ってあるじゃない」

慌ててお湯を汲んで来て溶かそうとしたが
水道管は凍りついているらしく
アイロンもこたつも
玄関までは届かなかった
ならば僕の身体で暖めてやればいい
そう気付いて服を脱いだが
君はさっきよりもさらに遠く
凍った空気の奥に進んでしまっていた
「馬鹿だねあたし
 何で動いちゃったんだろね
 帰りたいんだけどね
 ねえ、こっち来ないでね
 危ないよ。ほんと寒いし。
 実はもう動けないし。
 今まで楽しかったよ。
 こっち来ないでね」

そんなことを言われても
僕の歩みは止められなかった
思考が凍りついていった
ワタナベ [18:06:32]
しめきりーーーーー!!

ワタナベ [18:07:26]
寸評を

ワタナベ [18:09:25]
氷水さんのはその行の隙間や後に立ち現れてくるものが詩だとおもう。アオゾラさんのは自分と世界との境界線がうっすらと描かれていて好印象、楢山さんのは一つのストーリーとして完結しており、なおかつ余韻も残す、よって楢山さん!

楢山孝介 [18:11:32]
シンプルに「夏休み」
楢山孝介 [18:12:01]
13分から10分間
楢山孝介 [18:12:32]
始め
アオゾラ誤爆 [18:17:07]
通知表いらない
おかあさん、ごめんね
夏がきたんだって
ぴったりとくっつく
汗ばむふともも

あのこに会えなくて
すこしさみしくて
すこし
どきどきするのは
なんでだろう
なんでだろう

水色うちわでかぜを呼んだの
夏がきたんだ
だれかが言ってた
くるりとまわる
たいようが降る

宿題はともだちとやるよ
だいじょうぶだよ
ほんとだよ
夏がきたんだって
ほんとだよ

Tsu-Yo [18:21:37]
一年中が
真夏の国の子供たち
お腹がグーグーなる音で
明日のビジョンが掻き消される
そんな彼らを指さして
日本人に
自殺は甘えだと
説教するおまえ
馬鹿も休み休み言え
夏休みとるな

楢山孝介 [18:22:32]
プールの日なのにK君は来ない
登校日なのにK君は来ない
夏祭りなのにK君は来ない
学校が始まったのにK君は来ない

「なあ、K君てどうしたの。夏休み始まってから、一度も会ってないんだけど」
「あれ、そうやったっけ? 
 俺の見てないのはY君だけど」
え、僕はM君を、私はN君を、貴子先生はO君を
次々と出てくる行方不明者たち
おかしなことにそれらを全部足すと
クラスの人数の倍ほどにもなった

二学期が始まってしばらくすると
まず始めにK君が姿を見せた
それからY君やM君やN君やO君や
その他の誰彼が次々と出席し始めて
教室はとても狭苦しくなってしまった

実はK君なんていなかった
YもMもNもOもその他も
僕が理想の友達を一人欲しがって
些細な嘘をついたがために
みんながみんなが真似をし始め
嘘の責任を連帯で取るはめになってしまった
他のクラスの連中に指差されて笑われながら
僕らは汗にまみれてノートを取る

貴子先生の周りにいる若い男たちの吸う
煙草の煙がとても煙たい
楢山孝介 [18:23:05]
ギリギリだった

ワタナベ [18:27:27]
PCがフリーズしたので
全部とびました
お前が人間なら
殺してるよ
そんな夏休み

楢山孝介 [18:29:16]
アオゾラさんのは三連がすごくいい。「くるりとまわる/たいようが降る」ポイント入れたい
楢山孝介 [18:30:36]
Tsu-Yoさんの詩における説教は、僕も似たようなことをされた経験あり。ただ、夏休みとの関わりがどこか薄い気が
楢山孝介 [18:31:24]
ワタナベさんは、剥き出しの素の感情がわかりやすく伝わってきて、自分はPCじゃないのに、謝りたくなってしまう
ワタナベ [18:31:25]
(即興詩会は編集されて投稿されます さらにスレにてポイント制になってまして 四天王きまります よろしく)

楢山孝介 [18:31:57]
アオゾラさんの第三連に引き込まれたので、アオゾラさん


散文(批評随筆小説等) 即興詩会(飛びいれ!火にいる夏の虫、編)1 Copyright ワタナベ 2007-07-20 19:17:22
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