■共同連詩■         六時間目のモノローグ 〜はいすくーる白書〜
Rin K


チャイムまでゆっくり刻め次の一秒 
  授業の合間ふたりだけの輪・・・kaz

時の音に掻かれた誰かの声がして 
  指で秒針すすめて笑う・・・issey
  
  数学より難しいのかもしれないが
  あきらめるもんか君のこころ解く・・・kaz

制服のリボンをほどく指先で
  解いてこころはいずこになびく・・・issey


   *
   *
   *


前編?「僕は数学がニガテだ」・・・ issey

あのコの言葉、だけでいいから
一粒のこらず集めたくて
夏の風、を聴くふりで
少しだけ窓際に傾いてみる

素通りする、友の話 
ふざけあう視線
机の上に、飾りのように広げた教科書
意識を僕に戻したら
なんとなくページがめくれないように
押さえていた指先の下で
せき止められていた放物線、が
やっとの思いで息を継ぐ
そう、僕は数学がニガテだ

あいつの声が
わずかに大きくなった気がした
そのことでもなく
僕でもなく
あて先定めず噴出てしまった
ため息笑い
に、あのコがこっそり気がついて
振り向いてくれたら、なんて

憧れる
諦める
そこには式は成り立たず
また「解なし」のままで
今日も流れてゆくのだろう
ああ、やっぱり僕は
数学がニガテだ


前編?「イコールにならない不等式」 ・・・kaz


僕だけを見つめて欲しくて
おどけてみたり 大袈裟な手振りをしたり
君のこころが式となるなら
すべての知恵を集めて
割り切れる答えを出すだろう

イコールにならない不等式
それは二人の気持ちのバランス
お互い支え合うものならば
どんな式でも 最後は1になるはずさ

だけど電池が切れたような
電卓の数字にならない気持ちが
問題をさらに難しくして
ああ もっと 賢くなりたい

君があいつを見た瞬間
その一瞬が許せなくても
つられてあいつを見てしまうだけ
君のこころは何処を見つめてるの?


中編? 「紙ひこーきになって」・・・ kaz


君に接近できるのは
あくまでも距離だけであって
決して気持ちが近づいているわけでなく
君の彼氏になりたいっていう願いは
どう振る舞うことで叶うものなのか

君への気持ちを綴ったルーズリーフ
綴った分重ねることができても
僕しか知らないことならば
書き留めておく必要も無いような

自然な形で届けられたらいいな
話があるって切り出すのは僕らしく思えなくて
紙ひこーきになって
君のところまで飛んでくれないかな

あおぞらに描く言い出せない言葉
地球より重い 気持ちはブルーに


中篇? 「僕の、」・・・issey

放課後に向かって
わずかに伸びをした、君と
視線が交錯する
思わずカタン、と鳴った椅子の
音の理由をまだ知らなかったころなら
どうしていただろう

記憶を過去へと移項しても
書き方なんて忘れてしまった、手紙
便箋はノートの切れ端だから
多分、こんな感じ
 今日は遠回りしたいから
 一緒に帰ってみませんか

レトロな手段だから新鮮
ありきたりな文句だから印象的 、きっと

君のうなじを掠めたそれは
そう、風じゃない
蝶でもない
あおぞら にも似た視線で
少年に還ってしまった僕の、の

   *
   *  
   *

後編「うわの、空」 ・・・Rin

窓から空を見上げれば
ちきゅう、が
確かに存在することが
かみしめられる
ちきゅう、と
ほら かみしめて
口いっぱいに青が広がって
海の匂いがする

ねえ、さっき
私たち どんな話をしてたっけ
思い出せなくても
また同じことをいいあって
笑えればいい

ねえ きのう
風のように若葉を連れ去ったひとを
思い出せなくなっても
また季節の裏側で
笑えるのかな

どこからか飛んできた
小さな紙屑は 軽い音をたてて
ちきゅう に
吸い寄せられてゆく
いつかどこかで開かれる夢でも見ているようで
なんだか、ね





自由詩 ■共同連詩■         六時間目のモノローグ 〜はいすくーる白書〜 Copyright Rin K 2007-07-20 00:22:13
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