碧い魚
LEO

まあるい泡を
ぷくりと吐いて
そっと寝床を抜け出す
水の流れは
暗いぶん少し冷たい
おびれとむなびれ
ぷるぷる舞わし
水草の間から
夜の空を見上げた

真昼の水面を
きらきら照らす
陽の光と違って
静かな瞬きをみせる星々の
確かな結びを今宵もなぞる

星の下で
時を送るものは
他にもいて
水辺でダンスを楽しむのは
蛍だったり
畦で歌を披露するのは
蛙だったり
気の早い鈴虫が
リリリと鳴いたりもする

ほらいま囀ったのは
ほととぎす
キョキョキョ
キョキョキョ
暗闇のなかに
高く響いた

それぞれに
夏の夜は案外いそがしい



ひと通り星の形を模って
満足するころには
東の空も明るんでくるから
寝静まっているものを
おこさないように
さっきより緩やかに
ひれを舞わして
寝床にもぐる

ふるる
ふるる
せびれの影に流れ星

碧い鱗が
いつか夜空の色とおんなじに
深い深い蒼になるといいのに
そう願いながら
まあるい泡を
ぷくりと吐いて
眠りに就いた


自由詩 碧い魚 Copyright LEO 2007-07-17 19:27:43縦
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