紅い魚
LEO

耳に雨音
瞳に滴
触れるたび
肌はやわくなってゆく
身じろぎもしないで
硝子一枚に隔てられて
雨に囚われているのだろう

雨を除ける力など
もってはいないから
ここでじっとしているよ
硝子を伝う滴が頬を縫う
あなたから見たら
泣いているように
見えるかもしれない

雨は何色かしら
昨日の小鳥は鳴くかしら
他愛ない想いが
硝子の向こうに
浮かんで消えて
さらにやわくなった肌が
うるうるしている
あなたの目には
沈んでいくように
見えるかもしれない

それならいっそ雨に
足先で水を蹴って魚になろう
あなたの睫毛の端を
掠めて泳ぐ
尾びれの美しい
紅い魚になろう

雨が上がっても
紅い鱗が背中に残っていたら
あなたはきっと笑うだろう



自由詩 紅い魚 Copyright LEO 2007-07-15 23:47:09縦
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