せかいう
石田 圭太

さようなら

さようなら、

空を

じっと

眺めている

百千万の兵隊が

降り注いでいる

擦り鉢状のせいめいに

朝が、

手渡されている

擦り潰すのならば

朝、

擦り潰すのならば

混ぜ合わさった体液の

おはよう

彼女の乗った車はまだ

遠くの方に見えている

かぼそいものを

よく

見分ける目を持った少年が

おはよう

光が

手を叩いて、

せかいでは

それをくうかん



呼んだ

遠くの方に見えている

おはよう

おはよう、

これまでの

流れる息子を眺めている

暮れる光の窓がする

明くる夜の星がする

細長い腕を

細長く、

さも細長そうにして

眺めている

クラップ、

彼女が

手を叩いて

さようなら

じっと

眺めている

球形の青みがかった空を

せいめい

せいめいと、

蹴り上げて

訪れる痛みに君がする

失われたイエロウの

光の折れる数がする


自由詩 せかいう Copyright 石田 圭太 2007-07-06 14:04:42縦
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