五時のチャイムがなる頃に
虹村 凌
聞いてくれ
素直になれない大馬鹿野郎の話を
馬鹿だといって笑ってくれてかまわない
だけど聞いてくれ
素直にならずにやってくのは
案外肩が凝るみたいだ
腹筋も内股の筋肉も痛くて仕方無い
それでも
クーラーの効いた部屋で
少しだけ眠らせて
あと三十秒だけでいいから
声が出てるのはわざと?
帰りたくなんか無かった
夕暮れがあなたの部屋のドアをノックしたけれど
五時のチャイムが鼓膜を何度もノックするけれど
帰りたくなんか無かった
帰る場所から帰るって何処に帰ればいいんだ
自転車の鍵も返さなきゃよかった
帰りたくなんかなかった
ドアが開いてしまる
鍵をかけ忘れてきた道をくるり
秘密だらけのインアンドアウト
窒息寸前
鍵をかけ忘れたのはわざと?
顔を背けたのはわざと?
どうだってよくない
だから聞いてくれ
俺は本当に帰りたくなんか無かったんだ