私の歯
伊葉幸緒

笑いながら抜けた永久歯、
人生を箇条書きにするならば。

目が醒めたら口にガムを放り込む 噛んでから思い出す行方知れずの歯 目の前でミントが揺れる そして眠りに誘われる

銀のブリッヂに嘘を見た、
一度起きた朝を忘れてしまう。

ひんやりとした口の中 簡単に成ってゆく新聞 君が傾けたオレンジジュース 硝子に襲われる手の甲 そしてそしてそして

親不知の戯れ言、
私の戯れ言。

さよなら永久歯、
行方知れずの私の歯。


自由詩 私の歯 Copyright 伊葉幸緒 2007-06-28 15:29:48
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