外資系証券会社直通エレベーター付近に見る光景
不老産兄弟

ホセ・アルカディオ・ブエンディアは階段を駆け上がり
手まねきをするティムにうらめしそうな視線を投げかけると
おきあがりこぼしのようなものが斜めに並んだ柄のハンカチで額を拭った

ドン・サクセフスキーは
裏ポケットに忍ばせた44マグナムともヘネシーともつかぬ物体の先端から
抜けなくなった人差し指を持て余していた

次郎丸という、残酷なほどに浮世離れした苗字を背負ってしまった園児は
母親の強い希望でインターナショナルスクールへの進学を余儀なくされた
おかげでアグレモンタス家と家族ぐるみの付き合いがはじまり
暇さえあれば、ドロシーという名の友人が何故か一人もいないことを議論した
ホセ・アルカディオ・ブエンディアは小さな次郎丸を抱き上げた



自由詩 外資系証券会社直通エレベーター付近に見る光景 Copyright 不老産兄弟 2007-06-27 02:41:16
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