ハロー、ハロー。
なを

わたしたちさいしょの十年で永生には疾うに飽きてしまった。


心臓がことことと鳴る。ハロー、ハロー。はじめに頬に落ちた雨が恩寵のようだったことをまだおぼえている。産まれてすぐ吐瀉物のように泣き出したことをおぼえている。肉のなかで骨がかたかたと鳴っている。川のむこうへ。鉄塔の向こうへ。


さいしょの十年で永生には疾うに飽きてしまった。
疾うに。
鉄塔まで歩く。ランドセルのなかで骨がまだ、かたかたと鳴っている。


ハロー、ハロー。
はじめましての挨拶をなんどもくりかえす。たんじゅんな物語。その甘い味、ゆびで食べるナッツとキャラメルのアイスクリームよりももっと。


ハロー、ハロー。


自由詩 ハロー、ハロー。 Copyright なを 2003-08-21 21:31:32
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