薔薇と背中と、止まない雨
LEO

ひと足踏み入れば
彩る花弁の甘い香りが
しあわせの時を与えてくれる

いつの日も
六月の雨に濡れている足が
軽やかに茨を縫って進み
見え隠れする背中を追う
赤い薔薇、白い薔薇、あなたの背中
紫の薔薇、黄色い薔薇、あなたの背中
まどろむ寸前のような
匂いに遠退く意識の中でも
浮き上がる輪郭
その背中もきっと
薔薇の香りがするに違いない
甘く切ない
熱を持ち始めた距離
このままこの時を
ささやかな願いに
またいつか
そう言ってかげろう背中

約束はしないで欲しい
夢見てしまうから
赤い薔薇、白い薔薇、そしてあなた
紫の薔薇、黄色い薔薇、そしてわたし
つかの間描いた想いを
至福の庭に鎮めて
纏った匂いは灰の空へ還した

濡れた足が
ふたたび重たくなって
六月の雨は止むことを知らない



自由詩 薔薇と背中と、止まない雨 Copyright LEO 2007-06-18 01:39:37縦
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